理美容室を利用しない人の割合は、調査によって差があります。
『J-Net21』(運営:独立行政法人中小企業基盤整備機構)の調査(2023年発表)では14.3%、IT企業アクシアス社の調査(2025年発表)では27.9%、「ホットペッパービューティーアカデミー」(株式会社リクルート)の5万人調査(同年発表)では15.9%という結果が示されています。

一口に「理美容室を利用しない」といっても、物心ついてから一度も利用したことがない人もいれば、ここ数年利用していない人もいます。直近1年間に一度も利用しなかった人を理美容業界では「未利用者」として区分することが多いですが、これらの調査結果を総合すると、おおよそ15%から20%程度と推測できます。
理美容室を利用しない理由は、大きく三つに分けられます。第一は心因性の理由で、対人恐怖症や社交不安症などによるケースです。近年はこの傾向が増加しているといわれます。第二はライフスタイルや価値観による理由です。たとえば、節約生活を楽しむ人、ホームカットを通じて家族とのコミュニケーションを大切にする人、ヘアドネーション活動を続けている人、あるいは単に無精な人などです。第三は経済的な理由で、所得が少なく理美容室を利用できない、あるいは利用回数を減らさざるを得ない人も含まれます。
理美容室を利用しない人の割合は15%〜20%程度とみられますが、この数字は日本の相対的貧困率と近い値です。厚生労働省「国民生活基礎調査」(2021年)による最新データでは、日本の相対的貧困率は15.4%となっています。
未利用者の多くは、心因性・ライフスタイル・経済面の理由が複合していると考えられます。「相対的貧困率15.4%=未利用者」と単純に結びつけることはできませんが、経済的な要因が背景に大きく影響していることは確かだといえそうです。

